2007年 韓国映画
監督 : キム・ジフン
出演 : キム・サンギョン 、 イ・ヨウォン 、 イ・ジュンギ 、 アン・ソンギ 、 ソン・ジェホ
難しい題材を娯楽色豊かに描くっていう方向自体はよいものだと思うし、韓国映画にはそうした秀作も多いけど、しかしこれはなあ、もうちょっとやりようがあったんじゃないだろうか。『JSA』とかのレベルを期待するとがっかりする。『大統領の理髪師』や『シルミド』にも及ばない。
“娯楽色”の部分がことごとく空回りしていると思う。ベタなラブコメ風どたばた騒ぎが繰り広げられた直後に、軍による過酷な弾圧が描かれたりする。平和な日常を踏みにじる軍靴の響きを表現しようとしてるんだろうけど、ギャップがありすぎて私の鈍い反射神経ではとても追いつけなかった。そんなどたばたやってる場合じゃないだろう、という違和感が最後まで抜けなかった。
光州事件を初めて正面から描いたってことで、たぶん、この映画をほめてる人はその点を評価してるんじゃないかと思う。キム・ジフン監督も、事件を知らない若者に知ってもらいたいと考えて作ったようだ。それは確かに大事だと思うし、私もあまりけなしたくはない。恋あり笑いありヒロイズムありで、感情移入さえできれば感動的な映画かもしれない。『日本沈没』なんかでも感動できる人がいる世の中、何が起こるかわからない(日本沈没は別に関係ないけど、ぜひ悪口を書きたかった)。
と偉そうに語る私も光州事件についてはほとんど知らない。もっと一方的な弾圧事件かと思っていたので、市民たちが武器庫から銃やTNT火薬を奪って応戦したりもしているのが意外だった。一方的には違いないけど。
歴史的正確さについては事件の体験者からも批判されてるようだし、あくまで入り口としてとらえた方が良さそうだ。ある意味では、オリバー・ストーンの『JFK』などの巧妙な映画より、全然巧妙じゃないこうした映画の方が現代史を描くにはいいものかもしれない。観客に批判の余地が残されてるから。
韓国は徴兵経験者が多いから市民でも武器が使えるし、デモもかなり組織だってるようだ。考えてみれば、無惨に虐殺される市民や学生も、兵役についている時にことが起これば殺す側に回るかもしれないんだよな。そういえば『ペパーミント・キャンディー』
末筆ながら、看護婦のシネを演じたイ・ヨウォンが気高く美しかった、ということを書いておきたい。ちょっと演技過剰なところもないではないが、まあそういう映画だから。
ちょっとふざけた感じの感想になってしまったかな。光州事件自体は深刻なんだけど。
・光州事件 - Wikipedia
・asahi.com 「歴史は生きている」 光州のデモに参加したタクシー運転手の証言が載っている。
・輝国山人の韓国映画
・映画の森、監督インタビュー
・光州5・18@映画生活
タグ:光州5・18













