2013年12月22日

『かぐや姫の物語』 高畑勲監督


とても良かった。
心から楽しめた。
理屈っぽい映画かな、と覚悟して見に行ったのだけど、笑いあり涙あり、魅力的な細部に満ちた娯楽映画にちゃんとなっていた。
それでいて、生きることの本質みたいなものまで考えさせてくれる、
竹取物語の基本的な筋は変えずに、ここまで深い物語を描けるとは。
日本のアニメーションの最高傑作の一つと思う。

絵も良かった。
日本のアニメで、ストレスなく全編みられたのは久しぶり。
地味だしぱっと見そんなに魅力的とは思えなかったけど。
『老婦人とハト』とか『老人と海』とか外国の物に比べるとどうかな・・・。
でも日本の長編アニメでここまで可能なのか、と希望がわいて出た。
後に続く人が出てくれればいいなあ。
正直、私は最近の日本アニメの絵柄がほとんど受け付けられなくなっていて、まどかマギカなんかも半分くらい目をつぶり耳をふさぎながらみていた。すごいとは思ったけど。
だからこの映画には砂漠で泉に出会った人のようにさわやかな喜びを感じた。

特に疾走シーンの荒々しいタッチが良かった。
全体に、もっと自由奔放にいろんな手法が入り混じっても良かったんじゃないかな。
感情さえつながっていれば十分つながるはずだと思う。

不満というわけではないけど、物語もちょっと整理されすぎのような気もした。
テーマを表現するために考え抜かれたストーリーという感じで、それはもちろん欠点じゃないにしても、昔話らしいわけのわからない魅力も残してほしかった。

宮崎駿と通じるものが大きいのかな、とも思った。
浄土よりも地上の汚濁に満ちた生を肯定する姿勢はナウシカと通底する。
(成仏するより畜生道に落ちろ、ってことだよな)
夢の中でしか飛べなくなっているのも、たまたまかもしれないけど『風立ちぬ』と同じだし・・・。もっと素直にファンタジーを作ってくれればいいのに、とも思うけど、いま何を作るべきかとか誠実に考えちゃう人だからこそ質の高い映画を作れるんだろう。

技術的にもすごいのだろう、わたしにはよくわからないが。
油絵アニメーションだともう30年近く前の、『英雄時代』ってハンガリーの長編アニメーションがあって、この絵で動かせるのか、とびっくりした。映画としてもとても面白かったし。また見たいなあ、と思ってたらネットで見れるのか。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm2432975
今見るとやっぱり止め絵が多いかな。



かぐや姫の物語: スタジオジブリ絵コンテ全集20


かぐや姫の物語 ビジュアルガイド


ユリイカ 2013年12月号 特集=高畑勲「かぐや姫の物語」の世界



瓜子姫の夜・シンデレラの朝 (Nemuki+コミックス)
諸星大二郎 (著)
一番最近読んだ昔話の再話ということでこの漫画も・・・。
日本、中国、西洋が入り混じった和華蘭という言葉があるそうだが、日中欧の昔話を諸星流にアレンジ。
確かにわけのわからん話が多い。
それも魅力的。


posted by 読書家 at 01:09| Comment(0) | TrackBack(2) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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