2012年12月29日

『レオン・ラ・カム 』 シルヴァン・ショメ作 ニコラ・ド・クレシー画



『レオン・ラ・カム 』
(作)シルヴァン・ショメ/(画)ニコラ・ド・クレシー/(訳)原正人
(2012年エンターブレイン刊、3,150円)

ニコラ・ド・クレシーの大ファンなのでまた彼のBDを読めてうれしい。

脚本のシルヴァン・ショメは、『ベルヴィル・ランデブー』や『イリュージョニスト』で知られるアニメーション監督。
ニコラ・ド・クレシーは『天空のビバンドム』などの天才漫画家。
二人は短編アニメーション『老婦人とハト』でもコンビを組んでいる。

《内容》
世界で絶賛されたアニメ映画監督シルヴァン・ショメと、不動の人気を博すBD作家ニコラ・ド・クレシーが贈る衝撃作!

毒と秘密と愛を携えて、麻薬のようなおじいちゃんが帰ってきた……。
斜陽の親族企業のもとに、創業者であり、一族の父祖・レオンが数十年ぶりに帰ってきた。
レオンの孫である気弱な青年ジェジェは一度も会ったことのない齢百にも達する奇妙な祖父に、はじめは警戒心を抱くが――。
(エンターブレイン社ウェブサイトより)
http://www.enterbrain.co.jp/product/mook/hobby/10295901


「レオン・ラ・カム」とは「麻薬のレオン」という意味だそうだ。
麻薬のように危ない魅惑に満ちた傑作マンガだ。

お話も皮肉が効いていておもしろいし、当然ド・クレシーの絵もすばらしい。
マジック・リアリズムというのかグロテスク・リアリズムというのか、ラブレー的なのかどうなのか、私にはよくわからないけれど、グロテスクな黒い笑いにみちた幻想奇譚に魅了された。

でもクレシーの絵は、『天空のビバンドム』に比べると随分とあっさりしている。
訳者あとがきによれば、このマンガ以降、濃厚な絵柄をあらためたそうだ。物語を語るにはこちらの方が良いのか。読みやすくはなっている。
『天空のビバンドム』に圧倒されたものとしては残念だ。でも薄まったとはいえやっぱりすごい。特に幻想シーンの異常さは独壇場だろう。

落ち目の化粧品企業を救う取引先として日本人サラリーマンが出てくるのも興味深い。
相当グロテスクに描かれているけど、この漫画でグロテスクでない人などほとんどいない。
怒るより、むしろこの奇妙な世界に参加できたことを日本人の一人として光栄に思う。

続編はさらに奇妙な話だそうだ。アングレーム国際漫画祭の最優秀作品賞を受賞。
どうか訳されますように。元旦のお祈りはこれにしようかな。

訳者後書きによれば、ショメ監督が『ベルヴィル・ランデブー』で、ド・クレシーに無断でクレシー的な背景画を使ってしまったために、二人の仲は気まずくなってしまったのだという。
それで『イリュージョニスト』ではまったく違う絵柄になっていたのか。
あれはあれでよかったけど、ド・クレシーの絵でまたアニメーションを見たいものだ。
私はショメ監督作はこの3本しか見てないが、『老婦人とハト』が一番の傑作と思う。http://umikarahajimaru.at.webry.info/200704/article_5.html


『ベルヴィル・ランデブー』DVD シルヴァン・ショメ 監督
「老婦人とハト」所収。

posted by 読書家 at 22:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画、画集など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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