2012年12月16日

『ムチャチョ ― ある少年の革命』 エマヌエル・ルパージュ 著



第16回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞!
だそうです。
おめでたいですね。どうもありがとうございます。
関係者でもなんでもないけど、一ファンとしてお礼を言います。
ちなみにマンガ部門の大賞は『闇の国々』(感想ページへ)


この『ムチャチョ』もすばらしいBDだった。

ストーリーは感動的だし、絵もとてもきれい。
透明水彩で描かれた美しい画面に見とれた。
外国の漫画は絵柄が苦手、という人もいるようだけど、これは日本人の好みにも合うと思う。
日本の漫画家でいうと安彦良和さんを緻密にしたような感じ・・・?(この種の見立ては不得意だけど)


1976年、中米のニカラグアのが舞台。
長年続いたソモサ独裁政権への民衆の怒りが高まり、サンディニスタ民族解放戦線(FSLN)による解放闘争が拡がっていた。
政府高官の息子ガブリエルは若い修道士。絵の才能を見込まれ、教会の宗教画を描くべく、山岳部の小村に派遣される。
ルーベン神父の導きや村人との交流の中で、彼は多くのことを学び、成長していく。
だが独裁政権による過酷な弾圧は村にも及び、ガブリエルはいやおうなく闘争に巻き込まれていく・・・。

BDって人間を突き放して見るものが多いような気がするけど、これは情感豊かで人間味あふれる描写が魅力的。
悩めるガブリエルには感情移入せずにはいられないし、脇役も一人一人が心情をたくみに描きわけられてる。
波乱に満ちたストーリー展開は胸を熱くさせる。

もちろん革命勢力寄りの視線で描かれるわけだけど、単純な革命賛歌にはなっていなくて、熱狂の中の苦さなんかもちゃんと描かれていると思う。

あと腐女子の方にもおすすめ。
イギリス人の革命闘士は、わたしは『戦場のメリー・クリスマス』のデヴィッド・ボウイを思い出したりしたけどどうだろう。


『ムチャチョ』はガイマン賞2012では第3位に選ばれた。
http://gaiman.jp/result
この賞、私は読んだ冊数が少ないので投票は遠慮したのだけど、投票すればよかったかな。枯れ木も山の賑わいで。
『闇の国々』の1位には異存はないけど、この『ムチャチョ』とかマルジャン・サトラピの『鶏のプラム煮』とか、好きなのが多くて順位は付けにくいな。
こんな投票が成立するほど海外の漫画が訳されるようになるとは感慨深い。


ユーロマンガの解説ページ

BDfile(ベデフィル)のエマニュエル・ルパージュ氏インタビュー動画

以下、アマゾンにリンクを。

『夜になるまえに』
キューバの作家レイナルド・アレナスの波乱万丈な自伝。
「“おれたち”のようなものがキューバでどんな目にあうか知ってるか?」に答えるために。


革命とセクシャリティってことで関連するかな、と。映画版もよかったなあ。
posted by 読書家 at 16:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画、画集など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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