宮崎監督、やりたい放題だな。さすが巨匠。
映像的にはかなりすばらしい。絵本のような暖かみある背景描写。生き物のようにうねうね動く海、不思議な生き物たち。見ていて楽しい。方向転換は大成功だった。
ただし人物の描き方は今までの宮崎キャラと大差なくてがっかり。もっと単純化してほしかった。日本人なのになぜかヨーロッパ人のように見える。感動したときとかに目をきらきら光らせる演出はもうやめてほしい。などと個人的な好みに合わないところを細かく書いていくときりがないのでやめておくけど。
人魚姫+浦島太郎なんだそうだ。ほかに室生犀星の「蜜のあはれ」やワーグナーの『ワルキューレ』
どこがワルキューレなのかというと、ポニョの本名がブリュンヒルデなのだ。「あの人の血を引くだけあってすごい力だ」とかいうセリフがでてくるので、ヴォータンの娘なのか、と思ったら違った、父親はフジモトとかいう元人間、母親は観音様?海の女神?エルダ?(この母親のデザインはもうちょっと何とかならなかったのか)
妹たちを引き連れたブリュンヒルデが、「ホヨトーホ! ホヨトーホ! ハイアハー!」と叫びつつ(水の中なので聞こえないが)嵐に乗ってやってくる場面が最大の見所。音楽はワーグナーの「ワルキューレの騎行」そっくり。久石譲の音楽はときどき既存の曲に似すぎてて、大丈夫かなと思うことがあるけど、これはオマージュだろう。
あと良かったのは水没した町の描写。パンダコパンダを含め今までに何回か似たシーンを観たけど、これが一番いいんじゃないかな。
ストーリーは支離滅裂。破綻している、というレベルでなく、はなからまともなお話にする気はないようだ。シナリオ学校の答案なら零点だよ(クロトワのマネね)。
5歳の幼児が見た世界だから訳わからなくて当然、ということなのかな。インタビューのたぐいには今まで目を閉じ耳をふさいできたので、宮崎さんがどういうつもりで作ったのかわからないけど。
長年のファンとしては宮崎駿が衰えたとは思いたくないから、いろいろ理由をこじつけては支離滅裂な脚本を納得しようとするんだけど、でもおもしろくないっていうのは問題だと思う。
新人がこんな企画出してきたら周りがよってたかってやめさせるんだろうけど、宮崎駿は偉くなりすぎてだれも止められないんだろうな。晩年の黒澤明みたいな感じかなあ。それを幸とみるか不幸とみるかは人によるだろうが。私としても、意に染まない映画を鬱々とつくるくらいなら、めちゃくちゃな映画を楽しく作ってくれたほうがうれしい。私が素直に没入できなくなったのはさびしいけど。
まてよ、よくよく考えてみると、『崖の上のポニョ』は子供向け映画だった。そして私はもはや子供ではない。そうか! 私が子供の心を持っていればもっと楽しめたに違いない。いつまでも宮崎監督が私のために映画を作ってくれていると思うのは誤りだ。私も、還暦を過ぎて子供に返った後に見返してれば、理屈など考えず、不思議な冒険に胸躍らせて観ることができるのかもしれない。待とう。
ところで、キネマ旬報を読んでたら、宮崎駿がインスタントラーメンを肯定的に描いてることに驚いてる人が二人もいた。あれって非常食じゃないのかな。
崖の上のポニョ 公式サイト http://www.ghibli.jp/ponyo/
・崖の上のポニョ@映画生活
・goo映画「崖の上のポニョ」













