2012年09月29日

『ブック・オブ・エイリアン』ポール・スキャンロン , マイケル・グロス 著


『ブック・オブ・エイリアン』 (ShoPro books)
ポール・スキャンロン , マイケル・グロス 著


『プロメテウス』を見るために、久々に『エイリアン』を見直した。
やっぱりすごいなあ。ぜんぜん古びてない。
このころのリドリー・スコットにもっとSF映画を撮ってもらいたかった。
それこそホドロフスキーのデューンを引き継ぐとか。
本人が関心なかったならしかたないけど。

『プロメテウス』と比べて、やっぱり隠してはっきり見せないことで、観客の想像力を刺激してくれるのがいいんだろうな。
はっきりくっきり見せたくれても映画が面白くなるわけじゃない。
(いや『プロメテウス』はむしろ好きなんだけど、第三の傑作にはならなかった。続編に期待しよう)

最終段階のビッグ・エイリアンは意外と「ラバースーツを着た人間」みたいだったな。もっと非人間的だったような気がしてたけど。
ちなみにスーツの中身は身長2.18メートルのマサイ人留学生だとか。

という裏話が、この『ブック・オブ・エイリアン』に書かれていた。映画『エイリアン』のメイキング本だ。
ロン・コッブ、クリス・フォス、メビウス、H.R.ギーガーらの絵がふんだんに見られる。
メビウスは数日しか参加しなかったとのことで、ほんの数枚だけ。
リドリー・スコット監督によるストーリー・ボードも少し掲載。
『ブレードランナー』のストーリー・ボードをちょっとみたことあるけど、そちらはメビウスそっくりの絵で驚いた。エイリアンの頃はまだ影響を受けてないようだ。

やっぱりギーガーの参加が決定的だったな。
三Dでギーガーの世界を見てみたい。
『プロメテウス』だってギーガーのデザインが元になってるはずだけど、どうして何も感じなかったんだろう。

オバノンもメビウスも今は亡く・・・。
寂しい。

ダン・オバノン原作、メビウス画の『LongTomorrow』を訳してほしいな。
でも一番見たいのは、メビウスがホドロフスキーの「デューン」のために書いたストーリーボードかな。三千ページにもなるそうだ。

メビウスによるデューン
http://www.duneinfo.com/unseen/moebius/

ギーガーのオフィシャルサイト
http://www.hrgiger.com/
聞いた話だと、ギーガーはリンチ版の『デューン』にも協力を申し出たが無視されたそうだ。
リンチは『イレイザー・ヘッド』の赤ちゃんを『エイリアン』でまねされたと思って怒っていたらしい。


『エイリアン』DVD
リドリー・スコット監督によるオーディオ・コメンタリーがついてて、裏話や演出意図とか語ってる。
胚種の中でうごめいているフェイス・ハガーはゴム手袋をしたスコット監督の手だとか。
コールドスリープから醒めるシーンはリアルさを求めて全裸でも撮ったが、採用されなかったとか。
フェイス・ハガーの内蔵は牡蠣で出来ているとか。
エイリアンは実は生物兵器で、スペース・ジョッキーが運搬中に事故があったのだろう、とかいう『プロメテウス』につながる解釈も。


『エイリアン・コンプリートブック』イアン・ネイサン 著
 未読。こっちの方が充実してるのかな? 高いので迷ってるんだけど。


『プロメテウス アート・オブ・フィルム』マーク・サリスバリー 著
『プロメテウス』のメイキング本。未読。

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2012年09月18日

『リライト』 法条 遥 著



リライト (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
法条 遥 (著)


ミステリチャンネルでSF評論家の大森望さんが、○○○○の傑作、と推薦していたので読んだ。
驚くべき展開のタイムスリップSFだ。

1992年の夏、中学2年生の美雪のクラスに美少年の転校生がやってきた。ラベンダーの香りとともに現れた彼、園田保彦は、未来からの時間旅行者だった。
保彦は美雪にだけ正体を明かし、ある調査への協力を依頼する。美雪は保彦とかけがえのない数日間をともにすごす。初恋とファーストキス。
だが、未来への帰還直前、保彦は校舎崩壊事故に巻き込まれてしまう。
美雪はとっさに彼の薬を使って10年後の世界にタイムリープし、携帯電話を持ち帰る。それを使って彼が埋まっている場所を見つけ、救出に成功する・・・。
10年後の夏、若手小説家となっている美雪は、実家のベランダに携帯電話を置き、準備万端整えて待っていた。中学生の自分がその携帯電話を受け取りにくるのを。
だが、いくら待っても10年前の自分は現れない。なぜ? これでは保彦を救けられない・・・。
その日から、美雪の身に奇妙な出来事が起こり始める。記憶が、過去が書き換えられている?


というお話。
内容についてはこれ以上触れない方がいいと思うけど、SFミステリとして大変巧みに出来ている。すごく面白い。
強烈な謎に引っ張られて最後まで一気に読んだ・・・かと言うと実はそうではなく、
え、これどういうこと? え、なんでそうなるの?
と驚くことが多くて、そのつど前の方のページ読み直したり考え込んだりしてたので、読み終わるのに結構時間がかかった。
最後まで翻弄されっぱなしだった。

そうとうすれっからしのSF読みでもこれには驚くのではないかと思う。
私はそんなすれっからしでもないけど、大森さんが「まだこんな手があったのか」というくらいだから。


ネタバレの感想。

堪能したので、ケチつける気はないけど、疑問点をちょっと書いておこう。
この手の小説の場合、それも楽しみの一つだと思うので・・・。

あの携帯電話は誰が買ったんだろう。10年前から大切に保存していた携帯を、10年前に持って帰り、それをまた10年間保存して・・・。リライトが起こらなければ、それが永遠に繰り返されるってこと? 何年ものの携帯なんだろう。そもそもの計画からしてパラドックス含みな気がする。

40人全員の体験が終わってから未来に帰ろうとしていたようだけど、別に最後まで待たなくてもよかったんじゃないかな。小説を書きそうな子から順に体験させ、その都度、未来に帰れるかどうか試してみればよかったのでは?
うっかり未来に帰れてしまい、自分の存在が消えたり、1992年の記憶を失ったりする可能性を恐れたのだろうか。でも「その人」に当たらない限りは最初のときと条件は同じはずだよなあ。当たりなら帰れるし、外れなら帰れないってだけじゃないのかな。

40人全員に同じ体験をさせると言うことだけど、お祭りや旧校舎はともかく、雨宮さんの蔵や家で同時体験は無理だよね。
長谷川さんとのデートの時、美雪は別行動だったのだから、日にちや時間をずらして40回繰り返したってことか。それだと雨宮家の人々の記憶を40回も操作しなければならず、脳への影響が心配されるが・・・ああ、それは図書館司書や書店員も同じことなのか。美雪だってあの場に40回も来てるってことだよね。自分の回の時はどうだったんだろう? 一人二役する人にはなれないだろうし。
ときに雨宮家は40人分ものスイカを供出させられて大丈夫だったのかな。いや保彦の分もいるから80人分か。茂くんが補充に買いにいかされたのだろうか。

雨宮友恵の脅しはなんで効いたのだろう。普通に、記憶を操作して薬を取り戻すってわけにはいかなかったのかな。いや、そのときは美雪が雨宮の部屋で小説を読んでしまっていたのだから、パラドックスはもう生じていたのか。
このあたり考え出すと訳が分からなくなる。この辺でやめておこう。


なお、大森望さんは「イヤミス」として本作を紹介していた。
私は最初から身構えて読んだせいかそんな嫌ではなかったけど、確かに容赦ない話だ。
甘酸っぱいタイムトラベル・ロマンスのつもりで読み始めていたらもっとショックだったろう。
(わたしが一番嫌だったのは表紙絵がマンガ絵だったこと。)

イヤミスとかバカミスとか、なんか嫌な言葉だな。レッテル貼るにしてももっといい言葉がありそうなもんだけど。

ラベル:リライト 法条遥
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2012年09月07日

展覧会「イジー・トゥルンカ 想像力に魅せられて」


広尾のチェコ大使館にあるチェコセンターに、トゥルンカの展覧会を見に行きました。

ごく小規模な展示でしたが、なかなかおもしろかったです。

十数枚の写真パネルでトゥルンカの業績を紹介。

アニメーション作家としてのトゥルンカしか知らなかったので、画家や彫刻家としての側面が興味深かったです。
とくに幻想的な絵の世界には引きつけられました。
日本にも絵本などが翻訳されているようなので、読んでみたいです。

ほかに『チェコの四季』で使用された人形の展示もありました。
『チェコの四季』はトゥルンカの中でもとくに好きな作品なのでうれしかったです。

また製作過程を写した数分のドキュメンタリーも上映されてました。


展覧会「イジー・トゥルンカ 想像力に魅せられて」  
http://tokyo.czechcentres.cz/program/more/zhy-shntorunka-xing-xing-lwosbingu1/

チェコセンターにて開催(2012年7月13日〜9月27日) 

会期: 2012年7月13日〜9月27日

開館時間: 月‐木 10時〜17時、 金 10時〜16時  (土日祝日は休館) 

    * 最終入場は閉館30分前。

場所: チェコセンター(チェコ大使館内) 

入場: 無料 

tumblr_kyb974cLh31qaostzo1_500.jpg
トルンカによるアンデルセン童話集の挿絵
http://luceplace.tumblr.com/post/407461299/jiri-trnka-illustration-for-andersens-fairy


イジー・トルンカの世界 DVD-BOX



花むすめのうた [単行本]
フランチシェク・フルビーン (著), イジー・トゥルンカ (イラスト),
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2012年09月03日

『大長編ドラえもん のび太の大魔境』 藤子・F・不二雄 著


今日はドラえもん生誕の100年前だそうだ。
きのう藤子・F・不二雄さんについて書いたのは偶然だけど、何か縁を感じる。

子どもの頃、本当にドラえもんが好きだった。
セリフを数行聞いただけで、それが第何巻のなんという話に出てくるセリフか、たちどころに言い当てることが出来た。
ドラえもん博士として周囲の尊敬を集めていたことは言うまでもない。


今日は、先月に見た『映画ドラえもん のび太の大魔境』について書こう。

やはりドラえもんはいいなあ。わたしの帰るべき場所はここだ,という感じがする。
原作に比べると良くないんだけど,それでも、子どもの頃のわくわく感が懐かしく甦ってくる。

子供の頃は、原作から改変されているのが不満だった。わざわざつまらなく変更するのはなぜだ! と義憤を感じていた。
でも今回見直して、意味のある変更もあることに気づいた。

以下、ネタバレがあります。

原作だと、空き地に置きっぱなしになっていたどこでもドアを近所の人に燃やされてしまう。ワニに襲われて窮地に陥ったドラえもんが、四次元ポケットからどこでもドアを取り出そうとすると、ドアが燃えさしになっているのに気づくのだ。
でも考えてみると、四次元ポケットに遠くのものを取り寄せられるなんて機能はないはずだ。取り寄せバッグじゃあるまいし。それができるなら土管においてきたスモールライトとかも取り寄せられることになってしまう。
ドアは四次元ポケットに入れて持ち運んでいるはずで、空き地に残っているはずはない。
アニメ版ではこれが改変されていて、四次元ポケットから取り出したどこでもドアをワニに壊されることになっている。
あまりおもしろい展開とは言えないが、矛盾は解消されている。
ちゃんと意味のある改変だったのだな、と今回初めて気がついた。
アニメ版のスタッフにお詫びしたい。

あと、子供の頃は、先取り約束機で助けを呼ぶというアイデアに感服していたのだけど、どうせタイムマシンで戻ってくるなら先取り約束機とは関係ないんじゃないか? と気づいてしまった。
いや待てよ、5人の助けが来なければ彼らは生き延びられなかったろうから、後でタイムマシンに乗って助けに戻ることも出来なかったわけか。
タイムパラドックスの罠を回避し「助かるサイクル」に移行するためには、先取り約束機で約束することが必要だったのか。
やはり感服に値する。


話は変わるが、なんで漫画家の名前に「先生」ってつける人が多いんだろう。ちょっと違和感がある。小説家とかにはあまりつけないと思うけど。
手塚治虫の崇拝者による呼び方がひろまったのかな。○○先生にお便りを出そう!とか雑誌に書いてあったせいかな。

 藤子・F・不二雄大全集|小学館


映画ドラえもん のび太の大魔境【映画ドラえもん30周年記念・期間限定生産商品】 [DVD]


『藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 1 』
 第1巻では「のび太の恐竜」、「のび太の宇宙開拓史」、「のび太の大魔境」の3作品を収録

posted by 読書家 at 22:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画、画集など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年09月01日

『藤子・F・不二雄大全集 みきおとミキオ/バウバウ大臣』 藤子・F・不二雄 著





「みきおとミキオ」についての長年の疑問が解決した。
私が子どもの頃に読んでいたのはてんとう虫コミックス版なのだけど、犬のポンチが途中から急に人間の言葉を話し始めたのはなぜか不思議だったのだ。
今回、『藤子・F・不二雄大全集 みきおとミキオ/バウバウ大臣』で初めて読んだエピソード「ポンチがしゃべった」によると、手術をして、言語中枢をうえつけて舌と声帯を人間に近くした、ということが分かった。

タイムトンネルの仕組みも説明されていた。
「タキオンの吹きだまりが、時間をゆがめてさ。
三次元空間を時間軸が・・・。」
「小学五年生」掲載の第一話でミキオがそう説明していた。てんとう虫コミックス版には「小学四年生」の第一話が採られていたのだが、その説明はなかった。

以前「バケルくん」についても、藤子・F・不二雄大全集のおかげで判明したことがあった。
複数の人形を同時に操る場合、心は一つしかないからみんな同じ行動しかとれない、という設定だったはずなのに、エピソードによってはばらばらに動いているので、ご都合主義かと思っていた。
しかし、大全集を読んだところ、練習したおかげで徐々にばらばらに動けるようになった、ということがちゃんと説明されていた。



てんとう虫コミックス版の収録作を誰が選んでいたのか知らないけど、その後に影響するような設定説明的エピソードを省いたのはなぜだろう。子どもは細かいことを気にするものなのに。


わたしは藤子不二雄さんの漫画の中でも特にSF系が大好きで、「みきおとミキオ」のほかにも、「モジャ公」とか「21エモン」とか、こういう漫画をもっと読みたいなあと思ってた。
インタビュー等によると藤子さん自身も気に入っていたそうだ。しかしSFは人気が出ないためにあまり描く機会がなかったのだという。
このおもしろさを理解できない昔の子どもの愚昧さに憤りを禁じ得なかったものだ。
今でも残念に思っている。

 藤子・F・不二雄大全集|小学館
 http://www.shogakukan.co.jp/fzenshu/

posted by 読書家 at 22:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画、画集など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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