2015年10月10日

『かわいい闇』 マリー・ポムピュイ他 作 ケラスコエット 画




『かわいい闇』
マリー・ポムピュイ 作
ファビアン・ヴェルマン 作
ケラスコエット 画
原 正人 訳

内容
子どもたちの無邪気な暴力と、悲惨な運命……かわいい絵とは裏腹の、恐ろしくも陰謀うずまくドラマに虜になり、あなたの眼は離れられなくなる。少女の身体に宿る、かわいい闇の物語。
(河出書房新社のサイトより)
 http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309274904/


これは傑作。とってもおもしろかった。
童画のようなかわいらしい絵柄で描かれる、小人たちの残酷でシュールな物語。

絵はずっと眺めていたいくらいほんとにかわいいのだけど、内容はほんとにグロくて怖い。
そのギャップがたまらない魅力です。
季節の移ろいが美しい色彩で描かれ、その中心には九相図みたいに腐っていく少女の遺体。

少女と男の関係とか、謎も多い。
私が気になったのは、死んだ少女と主人公の小人の名前が同じらしいのはどんな意味があるのかな、とか。
作者はあえて曖昧なままにしているらしく、いろいろと想像を誘われる。

ちょっと残念に感じたのは、スクールカーストとか普通の嫌な人間関係の話みたいになっちゃったことかな。
途中までは、ほんとに妖精がいたらこんな感じかなあとか思いながら読んでただけに・・・。

でも傑作と思います。
日本語に訳されたバンド・デシネの中でもいちばん日本人に受け入れられやすいものの一つじゃないかって気がする。

ちなみに作画のケラスコエット(Kerascoët)というのは、マリー・ポムピュイとセバスチャン・コセの作画ユニットだそうです。
画像は原題の Jolies Ténèbres で検索するといろいろ出てきます。

北九州市漫画ミュージアムで、ケラスコエットの特別ワークショップがあるそうですよ。
http://www.institutfrancais.jp/kyushu/events-manager/kerascoet/
posted by 読書家 at 17:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画、画集など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月21日

『ホドロフスキーのDUNE』 フランク・パヴィッチ監督


内容
1975年にホドロフスキーによって企画されるも、撮影を前に頓挫したSF大作、ホドロフスキーの『DUNE』。「映画化不可能」と言われた小説、フランク・ハーバートの「DUNE」を原作に、そうそうたる面子をキャスト・スタッフに配し、莫大な予算と、12時間にも及ぶ上映時間を予定していたというその企画は“映画史上最も有名な実現しなかった映画”と言われ、伝説となっている。
本作は、ホドロフスキー版『DUNE』の顛末と、ホドロフスキー、プロデューサーのミシェル・セドゥー、ギーガー、『ドライヴ』のニコラス・ウィンディング・レフン監督等のインタビュー、膨大なデザイン画や絵コンテなどの資料で綴る、驚愕、爆笑、感涙のドキュメンタリーである。
(公式サイトより)


去年の東京国際映画祭では出遅れてしまって見ることができず、悔しい思いをしたので一般公開してくれてホントにうれしい。

十代のころに初めて『エル・トポ』を見て、そのパンフレットでDUNE映画化の企画を知ったのだった。
それ以来、雑誌やネットで断片的な情報をかき集めてきたけど、ついにまとめてみることができる日が来た。
まさに待望の企画だ。

すでに伝説のようになっている製作過程を、ホドロフスキー自身の口から聞くことができるとは。
感動的な体験だった。
泣く人がいるのもわかる。

しかし、あと数年早ければ、と思わずにいられない。
メビウスやダン・オバノンのインタビューも聞けただろうに。
ギーガーのインタビューは入ってるけど、この映画のためのインタビューではないようだ。
寂しいなあ。

せっかくなので、スターログ日本版に昔載っていたメビウスのインタビューを抜粋してみます。

−どういう経緯で“デューン”に参加したんですか?
M(メビウス):それは、監督のアレクサンドロ・ジョドロフスキーがそれぞれのパートに最高のスタッフを集めたチームを作ろうとしたからさ。
私の場合、ジャン・ジロー名義で描いていた“ブルーベリー”がヨーロッパで一番ポピュラーなコミックスだったし、一方ではメビウスの名義でSFを発表していた。そうした要素がジョドロフスキーが私を選んだ理由だと思うよ。
“エイリアン”の時とは違って、“デューン”では信じられない数のデザイン画、イメージ画、ラフ・スケッチを描いた。ストーリー・ボードに添って顔は丸、手足はチョン、チョンの実に簡単なスケッチを書きなぐりに近い形で描いたんだ。そうしてるうちに明確なイメージ画になっていく。
(月刊スターログ 1981年4月号より)


「ブルーベリー 黄金の銃弾と亡霊」
 未読。ヨーロッパではメビウスよりジャン・ジロー名義の方が有名らしいですね。


上映時間が90分と短すぎるのは残念。12時間とはいわないけど、せめて4時間はほしかった。
絵コントをもっと見たい。ホドロフスキーの話ももっと聞きたい。
DVDではノーカット版のインタビューをお願いしたい。

あと、『DUNE』は挫折したけど後続の映画にその精神は引き継がれた、という結論になっている。
それ自体には反対しないけど、例として「フラッシュ・ゴードン」とか「マスターズ/超空の覇者」とかが映されるのはいかがなものでしょう。映画化実現してたらこんな感じか、と思われちゃうのでは。


映画『ホドロフスキーのDUNE』公式サイト - アップリンク

Dune - Behind The Scenes
このサイトでメビウス、クリス・フォスらによるデザイン画が見れる。
メビウス、オバノン、ホドロフスキー、ギーガーらのインタビュー動画も載ってる。

ユマノイド
ユマノイド・アソシエが日本上陸!
70年代にメビウス、ドリュイエらが創設し、コミックの世界にビジュアル革命を起こした出版社です。

アレハンドロ・ホドロフスキー展『芸術に許可が必要だと?』
渋谷のPARCO GALLERY X にて6月30日まで。
しまったあ。時間あったのに行かなかった。
渋谷パルコと言えば、昔パルコブックセンターの洋書売り場でバンド・デシネをあさってたことを思い出す。
貧乏なのでめったに買わなかったけど。
その節はすみませんでした。今度たくさん買います。


ホドロフスキー原作、メビウス画の漫画『謎の生命体アンカル』 (アンカルのこと)の感想。
http://dokushoburogu.seesaa.net/article/153716016.html

ホドロフスキー原作、フアン・ヒメネス画の漫画『メタ・バロンの一族』の感想。
http://dokushoburogu.seesaa.net/article/305819575.html

posted by 読書家 at 17:46| Comment(0) | TrackBack(1) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月23日

『アナと雪の女王』 監督: クリス・バック、 ジェニファー・リー


ディズニー・アニメの最新作。
アンデルセンの原作とはあまり関係なく、ゲルダもカイも出てこない。

アレンデール国の王女エルサは、ものを凍らせる不思議な力を持っていたが、8歳のある夜、誤って妹のアナを傷つけてしまう。それ以来、エルサは魔法の力を隠して部屋に閉じこもって暮らすのだった。しかし父王が死に、女王として戴冠しなければいけない日が来る・・・。

とてもおもしろかった。
日本語吹き替え版で見たのだけど、これがよかった。
特に松たか子の歌声が素晴らしい。

ディズニーのミュージカルシーンは退屈することも多いんだけど、これは大丈夫だった。
アカデミー賞「歌曲賞」受賞の」“Let It Go 〜ありのままで〜”はエルサの心情が迫ってきて、特に感動した。

国の仕組みとか、説明不足じゃないかって気もしたけど、最近の宮崎アニメに比べれば親切すぎるくらいか。

暗くなりがちなお話だけどアナの明るいキャラや、愉快な雪だるまオラフらの活躍で楽しく心温まるお話になっている。
真実の愛の描き方とかも、意外性はあったけど無理にひねってるなる感じはなくて、感情の流れに沿った納得の展開。好ましかった。
でも子供向けのアニメーションくらい、すなおで型通りのお話があってもいいと思うがなあ。


「Let It Go」の25ヵ国語バージョン。みんなうまいけど、松たか子がまったく遜色ないのがすごい。生で歌合戦したらどうなるかはわからないけど。


アンデルセンの「雪の女王」にはいろんな人が絵をかいてる。
http://www.surlalunefairytales.com/illustrations/snowqueen/index.html

dulacsnowqueen7.jpg
エドマンド・デュラック

snowqueen_rackham5.jpg
アーサー・ラッカム

wintersnowqueen2.jpg
ミロ・ウィンター


「雪の女王 アンデルセン童話集1」
これはエドマンド・デュラックの挿絵。



雪の女王といえば、若き日の宮崎駿を魅了したソ連版が有名ですね。
山賊の娘は宮崎ヒロインの原型か。
そういえば『山賊の娘ローニャ』が息子さんによって・・・うーん大丈夫かなあ。


余談だけど、同時上映の「ミッキーのミニー救出大作戦」で悪漢をやっつけてミッキーたちがみんなで笑うシーンを見て、ビン・ラディン暗殺のニュースに歓声を上げるアメリカ人の映像を思い出してしまった。
子供のころはもっと素直に暴力描写を楽しめたものだが・・・。

posted by 読書家 at 14:57| Comment(0) | TrackBack(11) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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